掲載日:2025.9.30
六甲山の大自然のあちこちに点在するアート作品を鑑賞する「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」。
森の中を散策したり、壮大なスケールの眺望と一緒に眺めたり、危うく見逃してしまいそうなものを発見したり。緑の間を抜ける風や葉っぱの香りを感じながら、自由な発想のアートにふれる、その一瞬のキラメキを、あなたのカメラで捉えてみませんか。きっと新しい世界に出会えます。
「神戸六甲ミーツ・アート」とは、神戸・六甲山上の各会場を舞台に展示される数々のアート作品を、自然の中を散策しながら楽しめる現代アートの芸術祭。今年で16回目を数え、今回は61組のアーティストによる作品が六甲山のあちこちに設置されています。
今年のテーマは「環境への視座と思考」。かつて荒廃していた六甲山が、明治期に来訪した居留外国人や多くの先人たちの努力によって緑豊かな環境を取り戻したという歴史を鑑み、社会や文化、また世界の有り方まで広い視点で環境を見つめ直すきっかけづくりを目指しています。
会期:2025年8月23日(土)〜11月30日(日) ※ただし、六甲山サイレンスリゾートは8月~10月の毎週月曜日(月曜祝日の場合は翌火曜日に振替休業)および11月4日(火)は休業 開場時間:10:00〜17:00 ※会場により一部異なります。
「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」の入口となる六甲ケーブルは、六甲山の玄関口「六甲ケーブル下駅」から標高737mの「六甲山上駅」までの1.7kmを約10分間で結ぶケーブルカー。「六甲ケーブル下駅」の待合室と「六甲山上駅」に作品が展示されています。「六甲山上駅」には3つの植物が『こんなところに…?』。意外な場所にあるアートをぜひ見つけてみてくださいね。
「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」を楽しむには鑑賞パスポートが便利!会期中、有料会場に1回ずつ入場することができ、入場日のスタンプが押印されます。複数日に分けての利用もOK。『昼夜パス』は全ての有料会場と「ひかりの森~夜の芸術散歩~」へ入場が可能。「ひかりの森~夜の芸術散歩~」以外の有料会場に入場できる『昼パス』、「ひかりの森~夜の芸術散歩~」開催中のROKKO森の音ミュージアムと六甲高山植物園に入場できる『夜パス』など種類があるので、利用スタイルに合わせてお選びいただけます。 鑑賞パスポートを購入した際に配布される周遊マップには、場所によってスタンプデザインが異なるスタンプラリーが楽しめる台紙がついています。鑑賞の記念に集めて見比べてみて!
六甲ケーブル(六甲ケーブル下駅・山上駅)
営業時間:7:10〜21:10
最寄りのバス停:神戸市バス16系統 六甲ケーブル下バス停
公式HP:https://www.rokkocable.com/
チケット購入について(当日・Web割・市街地窓口):
詳しくはこちら:https://rokkomeetsart.jp/passport/
「音」×「自然」をコンセプトとした六甲山の癒しの場「ROKKO森の音ミュージアム」。自動演奏楽器の音色が響くコンサートルームやオルゴール組立体験ができる森の音ホールと、季節の植物や音の展示を体感する「SIKIガーデン~音の散策路~」の各所に作品が展示されています。「SIKIガーデン~音の散策路~」内の「野外アートゾーン」では芸術祭会期外も長期にわたってアート作品が展示されています。
10月中旬~11月中旬頃にかけては、色鮮やかな紅葉も。ゆっくり散策しながら数々のアート作品をお楽しみください。
木々に囲まれ、おぼろげな目をした大きな少女の顔の彫刻。作品名の由来は彫刻の後ろ側に点で刻まれたPEACEの文字とマークです。作者の手の中で造形された手跡の残る粘土が原型で、まるで巨人が手作業で作り上げたかのような仕上がりになっています。奈良さんの作品はこどもの姿を借りて社会の不公正や対立に対して鋭いメッセージを投げかけていると高い支持を受けており、この作品では世界中で絶えない災害や対立に対して私たちはどのように向き合うことができるのか、と問いかけているようです。
「楽園と境界」をテーマにしたこの作品の素材のステンレスミラーは作品と対峙する景色を映し出し、動植物のフォルムやスリットから森の向こう側が見え、まさに想像と現実の間を行き来する世界を描き出しています。その昔、鹿がシンボルだった六甲山ホテルで着想され、シーボルトが六甲山で発見した幻の花といわれる七段花(シチダンカ)と共に描かれており、作品を見る人が山と向き合うとき、実際にはいない鹿が現れ、その人もまた想像上の楽園に映り込むといった、自然との一体感が楽しめる作品です。
2023年に設置された木造のテラスとそれをつなげる浮橋、2024年にもう一つ小さなテラスを組み立てられ、それをつなぐ橋が水に沈められました。今年はさらに水に沈んだ橋を延長してテラスを取り囲んだ作品に仕上げられ、沈下橋がテラスを一巡する特別ルートのようになっています。会期中にはこのテラスでパフォーマンスも予定されています。
日常と山との境界線に浮かび上がるようなガラス製の面。“公” は概念的に「共同体の集う大きな家(やけ)」を指しており、古代では内裏のことを意味していたガラス製の面は、透明であるがゆえに〈自己と公〉の境界を曖昧にしています。また、能に登場する翁はあちらとこちらを繋ぐ存在とされており、3つの能面が現代に生きる私たちと自然との接点を象徴しているかのようです。
ROKKO 森の音ミュージアム、新池
鑑賞可能時間:10:00 〜 17:00
※9/20~11/30の土日祝は「ひかりの森~夜の芸術散歩~」開催のため20:00閉場
最寄りのバス停:六甲山上バス 1系統 森の音ミュージアム
公式HP:https://www.rokkosan.com/museum/
楠などを丸太の状態から削り出し、油絵具で彩色する手法で生み出される作品は、絵画と彫刻の間を自由に行き来する不思議な造形。幼い頃の落書きの延長線という作品は、作者自身を投影した分身のような存在で、六甲のやわらかな光と緑の中で記憶や感情のかけらが静かに浮かび上がり、形をもってたたずんでいます。 今回の芸術祭のメインビジュアルとなった“Like a Bird は羽を広げた鳥のように旅をして六甲山にたどり着き、そっと自然に寄り添っています。
漁業、林業、建築などいわゆる芸術家の範疇に収まらない集団によるアートプロジェクト『風の環』。この作品は円筒状の空間で六甲山を昇る“しらす” の群れを体感するもので、山に設置したセンサーの気象データが人工光を変化させ、光と風に呼応する “しらす”のオブジェが輝き、揺らめく仕掛けになっています。近年変化する大阪湾の漁獲量への影響が考えられる“風”を視覚化し、六甲の山、街、海が繋がっている様子を身体で感じるアートです。見えない自然のつながりに気づき、環境への視座と思考を深めるきっかけとなることを願った作品です。
植物園の入り口の隣にあるカフェは、緑の森の中で鳥の鳴き声を聞きながら、ランチやティーブレイクができるとっておきのスポット。植物園側にせり出し、木漏れ日が射すテラス席はまるで森の中に浮かんでいるかのような感覚。
百日鶏のてりやきのっけごはん・スープ付(1800円)【8/23(土)〜11/30(日)の期間限定】は、100日間肥育された播州の鶏を使ったしっとり柔らかい照り焼きチキンがほかほかのご飯にぴったり。
六甲高山植物園
鑑賞可能時間:10:00 〜 17:00(パスポート販売終了 16:00)
※9/20~11/30の土日祝は「ひかりの森~夜の芸術散歩~」開催のため20:00閉園
最寄りのバス停:六甲山上バス 1系統 六甲高山植物園(中村さん作品は西入り口から、しらす作品はどちらからでも)
山小屋カフェ エーデルワイス
営業時間:11:00~16:30(16:00 L.O.)
定休日:六甲高山植物園 休園日に準ずる ※冬季休業あり
日本を代表する建築家・安藤忠雄氏が設計を手がけた「教会三部作」の一つ「風の教会」。通常は非公開で「神戸六甲ミーツ・アート」の会場としてのみ公開されています。内部に設置された作品は、Floating Lanterns/岩崎貴宏(いわさき たかひろ)。無数の建築模型の断片が浮かんだ作品は、震災や戦争などで失われた建築の記憶をから構築されており、祈りを込めて放たれたランタンのように漂っています。
2025年3月に閉店した六甲山の麓の店「PUPPE」で、長年、店を見守ってきたミロのヴィーナス像を松蔭中学校・高等学校の美術部が引き受けたことで、新たなストーリーを創作した作品。街や店の変遷、阪神・淡路大震災などの試練と傷を経て、再び六甲山に「愛と美(ヴィ)」をもたらすべく降臨しています。
お笑いコンビ『天竺鼠』のボケ担当として舞台で活躍している表現者。絵画や立体、コラージュなど様々な表現を用いて「自分の“好き を探すのがアート鑑賞」だと語り、「作品の中に自分を感じてほしい」との想いから紡ぎ出された作品の数々が展示されています。
作者の過去の作品を解体して再構成した作品の素材は、木の板を彫刻刀で彫って画面をつくる木彩画や、麻や綿のキャンバスに描いた油絵、陶芸作品、版画やドローイングの紙作品など多岐に渡り、身体の細胞が再生を繰り返すように再構成してアップデートした作品が最新作として表現されています。
風の教会エリア
鑑賞可能時間:10:00~16:50
最寄りのバス停:六甲山上バス 3系統 風の教会
公式HP:https://www.kazenokyoukai.com/
2013年のUBEビエンナーレで発表された作品で、「神戸六甲ミーツ・アート」を契機に六甲山に移設され、以来、毎年、エリアを変えて展示されてきました。今回はみよし観音エリアで横になっています。表題の通り、鼻の穴の中を覗いて見ると、ユーモアと哲学が感じられる不思議で魅力的な世界が広がってます。
瀬戸内海で約1300万年前に生まれたサヌカイトという石を使い、インフィニティの形をした道が造られた空間。古来石器として使われ、人が生命を繋ぐために重要な役割を果たしてきた石を敷き詰めた道をゆっくり歩くと、不思議な音が森の中で静かに響き渡ります。
みよし観音エリア
鑑賞可能時間:10:00〜16:30
最寄りのバス停:六甲山上バス 3系統 みよし観音前
六甲山の山頂付近・標高約880mに位置する日本有数の眺望スポット。明石海峡から大阪平野、関西国際空港まで広がる大パノラマの眺望、夜には1000万ドルの夜景も満喫できます。レストランやカフェで絶景と共に楽しむグルメ、オフィシャルアートショップでオリジナルグッズなどのショッピングを楽しみながら、エリアに点在する作品を鑑賞できます。
六甲山から見渡す神戸・大阪の大パノラマを背景に、3つの木刻作品が展示されています。神話的な世界観から鳥や昆虫、植物などの生き物と人間の姿が混ざり合った造形作品が多く、今回の作品でもペガサス、青い馬、白い鹿と精霊の存在を感じる作品が六甲山の自然や海、空と調和しています。
ホルティ他ショップにて、様々なアーティストの作品がオリジナルグッズとしてズラリ勢揃い。リクエストの多かったピンバッジも新登場!お気に入りを見つけて、アート体験と共にお持ち帰りください。
六甲ガーデンテラスエリア
鑑賞可能時間:10:00 〜 21:00
最寄りのバス停:六甲山上バス 1系統 六甲ガーデンテラス
公式HP:https://www.kazenokyoukai.com/
神戸セレクト雑貨ショップ ホルティ
営業時間:10:00~20:00(木曜日定休日、一部期間は定休日なし)
公式HP:https://www.rokkosan.com/top/goods/horti/
夜間限定の光のアート作品がROKKO森の音ミュージアムと六甲高山植物園を幻想的に彩る、期間限定イベントが開催されます。六甲高山植物園では、今年初出展のアーティスト・村松亮太郎/NAKED,INCによる『DANDELION PROJECT』は、タンポポのアートオブジェ『DANDELION』に息を吹きかけると平和の願いとともにデジタルの綿毛が世界に飛んでいく、参加型アートプロジェクト。
同じく初出展の水中写真家・鍵井靖章は、世界の海で撮影した映像を夜のROKKO森の音ミュージアムに投影する作品《懐と海(カイトカイ)》を展示。
ROKKO森の音ミュージアムでは今年も髙橋匡太《ひかりの実 in SIKIガーデン》が登場。参加者が大切な人の笑顔を描いた果実袋の中にLEDの小さな灯りを入れ、木々に取り付けて暖かな夜景を作り出す作品です。《ひかりの実》が織りなす「笑顔の物語(ストーリー)」が観る人の心を温かくしてくれます。
会期:2025年9月20日(土)〜11月30日(日)の土日祝 開場時間:17:00〜20:00 会場:ROKKO森の音ミュージアム、六甲高山植物園